見世物小屋
超短文書き散らしブログ
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026. 渡り鳥(テニス / 伊武と神尾)
世界観的には、以前書いた橘伊武の「花粉航海」に近い話です。
”卒業と同時に峰っ子の前から姿を消す橘さん”っていうイメージが、どうも自分の中で根深くありましてですね…。
峰についてあれこれ考え出すと大抵鬱になるというか、何かもう大体こういう結末になっちゃうんですよ!
で、やっぱ自分伊武推しなので、四天戦以降の伊武さんの事を考えると、どうにもやり切れなくなるというか。
あの人がいつかは俺たちの前から去って行く事なんて、とっくの昔に分かっていた。
本当は、全国大会の準々決勝の時から、薄々そんな気がしていたのだ。
あの人の過去と、そこから繋がる現在との因縁を知ってしまった時から、ずっと。
「…ねぇアキラ、渡り鳥がどうしてわざわざ長旅なんかするかって、知ってる?」
「なっ…!?おまっ、バカにしてんの!?冬越すのにあったかいトコ行く為だろ!そんくらい俺だって知ってるわ!」
「じゃあさ、海とか越えてる間にもしかしたら死んじゃったりするかもしれないのに、そんなリスク負ってまで、何でわざわざ遠くに行こうとするわけ?確かに翼はあるけどさ、それでも熊とかみたく冬眠する様に進化した方が、よっぽどリスク低いしみんな幸せになれたと思わない?」
「え?………あ、まぁ…言われてみりゃそうかもな」
「そうしてまで目指す程、そこに行く事に何か意味とかあるのかな…」
「いや…う~ん俺鳥じゃねぇし、そもそもそんなん考えた事も無ぇからな…。つか、鳥にとって何が幸せかなんて、鳥にしか分かんねぇだろ」
長旅で傷付き、ぼろぼろになって辿り着く暖かい南の地でしばしの休息を取った彼らは、再び長い距離を飛び続ける為に十分に充電し、春の訪れと共に故郷へと帰って行く。
だからこれは、自然の摂理。
あの人が東京でテニスを始めたきっかけを考えれば、起こるべくして起こった事なのだ。
そう、あの人がいつかは俺たちの前から去って行く事なんて、とっくの昔に分かっていたのだ。
あの人にとって、ここは…本来居るべき場所では、無いのだから。
春が来れば、元居た場所へとまた帰って行くのが、自然なのだ。
